※この記事は、電波ソングの話をするフリをして、変な音楽をとりあえずいっぱい紹介するための記事です。
タイトルの「○○はジャンルを指すというよりシーンを指す用語~」というのは前振り。
「○○はジャンルというよりはシーンを指す用語であり、シーンとジャンルは必ずしも一致しない」テンプレとして好きに使ってくださいとつぶやいている方がいました。
○○の部分に、ほとんどどんな言葉でも当てはまるというジョークです。
「ロックンロールは~」「J-POPは~」「AKIBA-POPは~」とかとか。
音楽だけでなく、「ライトノベル」とか「オタク文化」とかでも当てはまりそうです。
思うに、ほとんどの音楽ジャンルって、最初はぼやっとした指す言葉だったんではないでしょうか?
「電波ソング」という言葉も、歌詞や曲が「電波」な歌という意味だけではなくなっています。
だんだんジャンルとして固定化され、「オタク文化の中である傾向を持つ曲」という意味合いが強くなっています。
そして、歌詞が電波(狂気)に溢れていても、必ずしも電波ソングと呼ばれるわけではありません。
似たような分かりやすい例として、「ヴィジュアル系」というジャンルがあります。
最初は「特定のジャンルに依らず、メイクやルックスが特徴的なバンド」みたいな意味合いだったと思います。
今ではヴィジュアル系という言葉も市民権を得て、音楽ジャンル化したといえるでしょう(良くも悪くも)。
そもそも、この語が特定の音楽の一ジャンルを形作っているわけではなく、始まりは中性的・退廃的・耽美的なメイクやルックスで、視覚的身体表現的衝撃をパフォーマンスの中核または重要要素に位置づける(主に男性の)邦楽バンドについて、大括りに用いられるようになった呼称であり、マーケティング的・大衆的な響きを含んでいた。しかし現在は後述のごとく、それは必ずしも蔑視・軽薄さなどを意味しない。
ところで、ヴィジュアル系の中にも、楽曲やパフォーマンスが電波・狂気的だと言われるバンドはけっこういます。
最初はその中のcali≠gariについて注目してみましょう。
彼らはV系の中でも特にアングラな、地下室系や密室系と呼ばれるサブジャンル(?)の主催バンドです。
他には初期のムックや、犬神サーカス団、グルグル映畫館などが関連深いバンドのようですね。
(「ネオナゴム」という言葉を始めて知ったのですが、これも調べなきゃいけなさそうです)
特徴は、80年代インディーズシーンやナゴムレコード、戸川純等に影響を受けたステージング(その為ネオナゴムと呼ばれることもある)、奇抜な衣装や白塗り、はみ出した濃い口紅や目の周辺を黒く塗る等、恐怖感を煽る様な個性的なメイクアップや外見、電波系を彷彿させるアクの強いイメージ、その外見とは裏腹に歌謡曲じみたポップな曲調や文学的な歌詞などが挙げられる[要出典]。
関連:newswave on line 第6回 「地下室系」を検証したい
曲を聞いても間違いなく電波(狂気的)です。
Hakkyou Channel - cali≠gari (発狂チャンネル / カリガリ)
しかし、cali≠gariがいわゆる「電波ソング」かというと、やはり違うんじゃないかと思います。
現在よく言われる「電波ソング」はアニメやゲーム(特にPCゲーム)の文脈の音楽が多いです。
「電波ソングファン」を名乗っている人も、多かれ少なかれそういう文化(シーン)の中にいる人ばかりです。
それではアニメやゲームのいわゆる「電波ソング」の具体例として、"めうめうぺったんたん"を聞きましょう。
「音楽の力でひなびた商店街を活気づけよう」という設定です。
めめめめめめめめうめうめめめめうめう
ぺったんぺったんぺったんぺったん
大好き
めめめめうめう めめめめうめう
ハンコで世界中しあわせ!!
めめめめうめう めめめめうめう
ぺったんぺったんぺったんぺったん
大好き
(M・O・K・S!! M・O・K・S!!)
ぺたっとぺたっとぺたりこー!!
わふー!! (わー!!)
【高音質】jubeat saucer めうめうぺったんたん!!/ 日向美ビタースイーツ♪
ジャンルとしての「電波ソング」が「電波な歌」とどう違うのかを考えるのも面白そうです。
「歌の意味不明さ」より、アニメ等の物語の背景や文脈、キャラクター性が重要になっている気がします。
でも電波ソングはそうはいかなくて、特殊な単語をつなげて狂った歌詞を作らなくてはいけないんだけど、ただ狂った歌詞を作るだけだと「痛い」曲になっちゃうという。そのために背景・文脈が必要になってくる。特に同人のオリジナル電波ソングは、背景の決め手が無いという理由で一つ間違うと痛いだけになっちゃう可能性が高い。
この中ではcali≠gariや戸川純、ナゴムレコード系統などのアングラで狂った音楽はほとんど語られることはありません。
(ぱんださんようちえんとかを介して影響受けてるって説もあるっぽいんですが、詳しくないので書けません。)
【メモ】電波ソングの起源についての一考察~萌えと悪ふざけとアイドルポップの系譜~
http://sakana38.hatenablog.com/entry/2013/04/19/053828
それで、単純にまとめると次の四種類があると思います。
(電波=狂気的、電波ソング=アニメやゲームの文脈の~って意味で捉えてください)
やっと本題。
このそれぞれについて、特に1番と2番について考えてみようと思います。
「電波」だけど「電波ソング」って言われない
頭おかしいけど、アニメやゲームの文脈ではない楽曲です。
まずはアンティオタキウス3世の「青春イングリッシュ」。
ファン制作(?)の自主制作アニメーションが強烈な印象を残します。
サブカル系のバンドで(個人的に)要注目なのはストロベリーソングオーケストラ。
筋肉少女帯の影響が強いバンドで、毒電波満載な演劇調の楽曲&ステージも魅力です。
メタルな楽曲も多く、重いギターとメロディアスなピアノの絡み(?)が良い感じです。
アキバ系グラインドコアサークル堕武者+ultraviolence+も紹介しておきます。
グラインドコアは、ハードコアパンクから派生した、デスメタルと関連深いめっちゃ激しいジャンルです。
エキセントリックなジャンルで、30秒以内に終わる楽曲とかけっこうあるようです。
動画はハードコアパンクバンドPositive SuicideとのスプリットアルバムL.O.N.D.。
ジャケットがダブルピースだったり、「やったねたえちゃん」の楽曲が収録されてたりヤバイCDです。
これは歌詞もアレだし、オタクの文脈もあるし…で、電波なのかどうか悩みどころな気もします。
ちなみに、メイドさんロックンロールを思わせるタイトルのメイドさんグラインドシリーズあります。
M3で臓物擬人化アイドルmo2とコラボしていました。
http://ameblo.jp/zoumo2/entry-11515303837.html
Lolita Organization Never Dies Sampler
そういえば、海外の音楽ってほとんど電波ソングと呼ばれることはありません。
辛うじて思いつくのでは恋のマイアヒやウッーウッーウマウマ(゚∀゚)(Caramelldansen)くらいでしょうか?
しかし、「曲がわけわからない」、「やけにテンションが高い」、「空耳ヤバイ」の意味ならむしろ海外でしょう。
特に東欧やハンガリー、ロシアあたりが激アツスポットだと思うんですがどうでしょうか?
というわけで、「おしりがいたい」と歌っているとしか思えない曲を貼り付けます。
おしりがいたい曲が耳から離れない http://t.co/a6bmrNuF http://t.co/sG2me4WB
— 黒めだか (@takeshi0406) January 6, 2013
まじめに、ハンガリーの妙にハイテンションなトラッド・ミクスチャーバンドNapraもどうぞ。
電波ソングじゃないでしょうけど、キルミーのベイベーとか好きなら気に入るかも。
Napra - Pici Ház | Little House (Watch in high quality)
「電波」じゃないけど「電波ソング」って言われる
UさんとかFuntaの楽曲は本来の意味での「電波」ではないと思います。
ものすごくキュートでラブリーな歌詞ばかりで、電波・狂気的だとは言えないでしょう。
あなたの好きな あたしになりたい星空もキラキラするくらい
あなたが笑うと 嬉しくなるの
負けないわ 伝えるわ 本気出すわ
目醒めてAngel 1 2 3 5
しかし、ハイッという合いの手もあり、「電波ソング」に共通する雰囲気はなんとなく感じられます。
また、物語の背景や文脈、キャラクター性は十分にあるでしょう。
そんなわけか、「萌え電波ソング」のようなプレイリストに入っていることも多いです。
この曲が好きな電波ソングファンも多く、「電波ソング」シーンの盛り上がりには確実に寄与しているでしょう。
いわゆるアニメ・ゲームの「電波ソング」でイメージされるのは下のような楽曲群だと思います。
概ねこんな系統がニコ動などで電波ソング認定受けやすいですよん。...とまあこんな感じで。アニソンもあるとは思いますが、主戦場は美少女ゲーム系になると思います。
- いわゆるキュンキュン系
- アップテンポで早口な楽曲
- 歌詞がエッチだったり突拍子もなかったりするケース
- 空耳ソング
- (演者または観衆の)パフォーマンスが怪しく楽しいケース
- 普段はクールな曲を多く歌っているアーティストが、カワイイ系の曲を歌うケース
「楽曲が電波(狂気的)」という意味では、3番と2番くらいしか当てはまらないんじゃないでしょうか?
4の空耳ソングだと、ave;newのTrue my heartの空耳(きしめん)が有名です。
楽曲自体はポップなラブソングで、別に電波ではないのですが、ニコニコ動画の空耳弾幕などで盛り上がっていました。
きしめんとは (キシメンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%8D%E3%81%97%E3%82%81%E3%82%93
まとめ
「電波ソングはジャンルというよりはシーンを指す用語であり、シーンとジャンルは必ずしも一致しない」
という話でした(途中で脱線ばっかりだったけど)。
現在の電波ソングシーンはアニメやゲームの背景や文脈(ストーリー性)のある曲がメイン。
「電波じゃないけど電波ソングって言われる曲」も含めて盛り上がっている感じだと思います。
厳密な意味では歌詞が「電波」じゃないけど、まあ楽しけりゃいいじゃんって感じでしょう(多分)。
個人的には、戸川純やcali≠gariを聞くと、電波な部分より、歌謡曲・日本的な部分に惹かれます。
この「電波な部分」ってなんなんだーって考え始めるとまた色々と考えこまなきゃいけなさそうですが。
それぞれ電波・お花畑板の電波とお花畑に対応している説(?)
関連記事
【メモ】2003年以前の混沌とした電波ソング事情(について誰かまとめてください)
http://sakana38.hatenablog.com/entry/2013/05/12/223647
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