今私は小さな魚だけれど

ちょっぴり非日常な音楽を紹介するブログです

【今週のまとめ】「このジャンルが好きな人はどんな生活をしている人なのか?」とかめっちゃ興味ある

海外だとITを使った新しい音楽サービスがどんどん出てきているようで、非常に羨ましいです。

まずはデータ解析によって、音楽ファンがどんな生活をしているのか分析して、それに対してマーケティングを行っていく(らしい)サービスが現れたという話。

音楽データを解析しデータベース化する音楽スタートアップ「The Echo Nest」(エコー・ネスト)が、デジタル音楽サービスの広告向けとなるソリューション「Music Audience Understanding」を発表しました。

「このジャンルが好きな人はどんな生活をしている人なのか?」「この人は新しい音楽をよく聞いているから、好きなブランドは…」といったこれまで曖昧だった音楽ファンに関するデータが広告を効果的に配信するために活用できるようになります。

「効率的にセグメント化できるソリューション」っていうとものものしいですが、「このジャンルが好きな人はどんな生活をしている人なのか?」「この人は新しい音楽をよく聞いているから、好きなブランドは…」ってめちゃくちゃ面白そうですね。

男が多いのか女が多いのか、どんな考え方や生活をしているのか、アーティストのどこに惹かれているのかとか分析しまくりたいですね。音楽と好きな食べ物に相関があったら、自分と同じミュージシャンのファンが好きな食べ物を食べてみたり(意味あるかは別として)。

その辺に個人的にめちゃくちゃ興味があって、PythonやRで音楽についてデータ解析ができないか勉強しているのですが、そもそも個人レベルで使えるデータがlast.fmtwitterAPIやブログなどのテキストデータくらいしかなくて難しいです…。

アニメ『アイカツ!』が描く音楽とデータ解析の未来(?)

↑それっぽいタイトルつけてみました。

唐突ですが、アニメ『アイカツ!』ではその辺の技術がよく発展した近未来(?)が描かれていて、ライブ会場の頭につけているやつで観客の興奮度を測ったり、

system.png

プロデューサーのきいちゃんがデータを解析してステージに合った音楽や衣装を選ぶといった描写があります。

okokok.png

ハイ、あまり関係ありませんでしたね。でもこんなにいろいろなデータが集まって、解析して面白いステージを作ったりするような世の中になったら面白そうですよね。

女の子向けのアイドルアニメなのでかわいいキャラや熱血ストーリーについての感想が多いですが、アイカツフォンが何もない空間に映像を投影+タッチ操作できたり、ITやデバイスのCOOLさについてももっと注目されるべきなんじゃないかと思います!しかもそれが全然違和感ないというか、近い将来こういう世界になってたらいいなみたいな感じなのがすごい。

ホントにどうでもいい話をすると、私がこういう分野の勉強用に書いてるブログは元々あのちゆ12歳さん「グッジョブ」や「GJ」などの語の使われ方の変遷を掲示板のログから分析しているのと、上述のきいちゃんがデータ解析を駆使している姿をリスペクトして「データサイエンティストアイドル きい15歳」みたいなタイトルにしようと思ってたんですがやめました。「kiito.~」ってURLはその名残りです。

インターネットラジオPandoraの基になった『ミュージックゲノム』

音楽とデータ解析といえば、アメリカのインターネットラジオ+音楽おすすめサービスであるPandoraの話もなかなかおもしろいです。音楽の持つ「要素」を専門家がリストアップして、それをデータ解析してレコメンドサービスを作っているという話。

連載第26回 アメリカでミュージシャンたちの生計を支えるPandoraの楽曲使用料 | Musicman-NET

映画音楽では監督が映像につけたい音楽をミュージシャンに依頼することになる。監督と何度も打ち合わせをしながら、監督が納得するまで何度も作曲・編曲を繰り返す。

「そのとき、他人がどんな曲が好きなのかを知るため、音楽にどんな要素があるのか解読しようと思った」

生物の性質が全遺伝情報(ゲノム)で大きく決まるように、音楽の性質を決める情報をリストアップする。音楽ゲノム計画のアイデアだった。

実際に着手したのは2000年。偶然だが、ヒトのゲノムがほぼ解読されて発表された年だ。ミュージシャンや技術者を集め、音楽を徹底的に解体し、一つひとつの「遺伝子」を決めていった。

現在利用している遺伝子の数は約400。曲の速さ、調性、楽器編成、メロディーやハーモニー、リズムの特徴、歌のあるなし、などから始まり、ギターのピッキングの強さ、歌詞の悲痛さの程度といった要素もある。

出典:朝日新聞グローブ (GLOBE)|「音探し」の新次元 -- 音と科学

音楽とITの関わりの歴史めいたもの

こういう新しい技術って、エロと音楽が主導になって発展していくことが多い(多かった?)ように思います。昔はインターネットを使ってるのがオタクと変人ばかりだったからという説もありますが。

2005年に出版された、『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』という個人サイトの歴史をまとめた本にそのことが(も)詳しく書いています。音楽に関係する話では、90年代に大学生を中心に始めたe-zine、ちょっと胡散臭いWAREZの話、個人のネットラジオ、掲示板など、企業ではなく個人ユーザーのインターネットについて書かれた本です。

『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』(翔泳社)についての著者による情報

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書
(2005/05/10)
ばるぼら

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MP3は当初音楽ファイル共有に広く用いられていた話だとか、

音楽圧縮のデファクトスタンダードであるMP3も、当初は(当初から?)WAREZ的な立場にあった。MP3が開発されはじめたのは87年だが、話題になったのはエンコーダと再生プレイヤーが登場してからである。

出典:『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』P174

あとYouTubeの普及も、(権利者がアップしたかどうかは問わず)音楽の動画やPVが多数アップされていたことが影響しているとよく言われます。(YouTubeの設立が2005年なのでこの本には載っていませんが)エロ関係だと動画のストリーミング再生が高画質なアレを見るために利用されたって話も聞いたことがあります。

また、当時はiTunes Storeがなかなか日本に上陸できなかった時期のようで、下のようなことが書かれていました。今も海外の音楽サービス(SpotifyやPandora)が同じ問題でなかなか上陸できていないので、こういうことって当時となかなか変わってないんだなって笑ってしまいましたw

ファイル共有ソフトはデジタルコンテンツに対する潜在需要を浮上させたが、その需要に応える供給は未だなされていない。むしろその動きを抑制させる「著作権の保護」という建前だけが目立つ。例えば1日100万曲の販売を達成している海外「iTunes Music Store」おのような音楽ファイルのダウンロード販売が、日本ではなぜまともに行われないのか。可能性が可能性のまま放っておかれているのだ。

出典:『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』P356

↓今でもこんな感じです!

日本にPandoraが上陸できない理由

日本でインターネット放送をする場合、「著作権」と「パフォーミングライツ」のふたつを処理しなければならない。パフォーミングライツとは、CDやレコードを放送に使用したときに発生するもので、放送局はレコ協・芸団協に「二次使用料」を払うことで、権利をクリアしている(それがレーベル、および所属事務所の加盟団体を通過してミュージシャンに分配される仕組みだ)。問題なのは、インターネット放送で音楽利用をする場合、「商業用レコードの二次使用」に該当しないということだ。つまり、放送局とレコ協・芸団協がつくった既成の枠組みを使うことができず、著作権だけでもないので、JASRACやE-Licenseとの一括交渉も不可能なのである。Pandoraが日本でローンチするには、すべてのレコード会社(レコ協に参加しているだけで35社ある)と個別に交渉をする必要があり、すでにその交渉は6、7年続いているが、いまだ交渉がまとまる様子は見えてこない……。

出典:アマゾンもグーグルも、音楽の世界では「Pandora」に敵わない « WIRED.jp