今私は小さな魚だけれど

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【気になる音楽】韓国の音楽シーンを描いた『大韓ロック探訪記』が気になります

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長谷川はあるとき、ひょんなところから韓国にのめり込み、気づけば現地で活動をはじめ、前述のサヌリムのサポート・メンバーとなり、その他、現地のレジェンドたちと邂逅、さらには現在はインディ・ロック・シーンの人気バンド、チャンギハと顔たちの正式メンバーとして活躍している。そんな音楽人生を送っている人物だ。そんなシーンの中心に入ってしまった日本人の口から、韓国のロック・シーンとはどこからきて、どうして現在のインディ・ロックが生まれたのか、などが紐解かれるのだ。彼がインタヴューする現地のアーティストも含めて、その視点が本著の中心となっている。

軍事独裁政権下でのさまざまな苦難も含めて、ときに笑い、ときに感動させられるディープなエピソードで語られていく。自由に音楽を作ることができるようになったのが、本当につい最近のことだったりと、とにかく距離としてはひどく遠い、だけど身近な欧米のロック・シーンよりも、なにもしらないことだらけの隣りの国の音楽事情に驚くばかりだ。

共著者とも言える大石の視線にしても興味深い。彼がオトトイの学校などで行っている、日本の伝統音楽や大衆芸能に対する姿勢——南米などさまざまな世界中の音楽と同様、モダンな耳でフラットに接することで、音楽文化全体としておもしろがるという姿勢だ。文化の違いが音楽の違いになる、そこにおもしろさがある。それを見つめることで生まれる好奇心。それが本著ではまさにお隣の国の音楽に関しても、自然に向けられているところが印象深い。

そう、「ほっとけ、すべてのことは自由だ」というわけなのだ。