"切ナ色歌謡ロック"を自称するバンド実験台モルモットの新譜です。
彼らは歌詞の世界観がおもいっきりネガティブで、それなのにどこかコミカルなのが特徴的なバンド。
中性的なボーカルや、ヴァイオリンやキーボード担当メンバーがいることなど、演奏でも個性を発揮しています。
ドラムのメンバーチェンジ後で初めての音源ということで期待半分不安半分でした。
結論から先に書くと、これはファンサービス的なアルバムだと思います。
ブックレットによると、
"五人のメンバーが自分の力と感性だけを頼りに全力を注いだ一枚、まずは「ええー、あの曲がこんな風に!?」という驚きを楽しんでいただければ幸いです。"
とのこと。
メンバーの一人ひとりが一曲ずつ担当してリアレンジした、という趣向のようです。
ある意味これまでの実モル"らしくない"曲も多く、彼らの思惑にうまく嵌ってしまいました。
一曲目"廻転木馬~黒猫の円舞曲~"。
アコーディオン(?)が追加され、さらにノスタルジックな雰囲気となっています。
このアルバムで一番好きなアレンジでした。
二曲目"ピカピカのバッジ~六響夜想~"
力強いギターが目立つアレンジとなっています。
三曲目"溜息の狂騒曲~The sentimental bossa~"。
なぜかおしゃれなボサノヴァアレンジ。
だけど歌詞は相変わらずな変テコな雰囲気です。
四曲目"半分個カーディオイド~D style~"。
電子的なダンサブルなアレンジにした、とのことです。
90年代のJ-POPみたいなちょっと懐かしさを感じました。
五曲目"くすり屋さん~RB pharmacy~"。
新しいドラマーによるアレンジで、大好きなスティービー・ワンダー風に仕上げたそうです。
全体的に意外性や驚きを狙っており、各メンバーの音楽趣味の分かる楽しいアルバムです。
リミックスアルバムみたいな心構えで聞くのがちょうどいいでしょう。
ブックレットに歌詞はなく曲紹介だけなので、熱心なファン向けのアルバムなのかもしれません。
逆に彼ら独特のエグさは鳴りをひそめています。
そういう楽曲はこれからに期待しましょう。
◆こんな人にオススメ!
ファンサービス的な、意外性を楽しむアルバムだと思います。
逆に、彼らを知らないけど気になるという方はまずこれまでのアルバムのほうをオススメします。