チップチューンは不思議な音楽で、人によって求めているものや目指している方向性がほとんど違うように思えます。ゲームボーイやファミコンの実機を使う人でも、「敢えて限られた環境でテクノ音楽を作りたい」という人もいれば「昔のゲーム音楽風のアレンジでノスタルジーを感じたい」「エフェクターをかけまくって凶悪な音を出したい」というような人もいます。
私の場合は「既存の曲をカバーしてDJ(っぽいこと)がしたい」「ミニマムな構成のシンセサイザーであんなに豊かな音が出るのはやばい」と思っているので、どうしても「あの楽器のあの音を出したい」ってところで時間がかかってしまっていました。
以前、シンセサイザーの本が勉強になったと書きましたが、「それぞれの楽器の音をそれぞれの波形を使ってどう(デフォルメしつつ)再現するか」というところはずっと悩んでいました。偶然、図書館で読んだ「音楽と楽器の音響測定」という本がヒントになりそうだったので、その引用文献を後学のためにメモしておきます。
- 作者: 吉川茂,鈴木英男,日本音響学会
- 出版社/メーカー: コロナ社
- 発売日: 2007/11/22
- メディア: 単行本
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楽器音響学の書物や文献などを調査してみると、時間波形の実例を載せているものは意外と少なく、特に最近のものほど少ない(1950年代以前では逆にかなり多い)。これは研究の方向が明らかに変わったことを示しているが、楽器音響が来の研究がかなり飽和してきた昨今、「波形」という一つの原点に戻ってみることも大きな意義があろう。幸い、安藤の著書 5) とN. Fletcher and T. Rossingによる最近の著書 6)には相当数の実例が取り上げられている。M. Campbell and C. Greatedによる著書 7) は音響測定という面からも波形の実例が豊富という面からも優れている。また、拙著にもかなりの実例を挙げている。読者には、これらの文献にある時間波形をじっくりと鑑賞して欲しい。
5) 新版 楽器の音響学
- 作者: 安藤由典
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 1996/02/01
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こちらは偶然本屋で見かけて読みました。非常にいい本です。
6) The Physics of Musical Instruments(邦訳: 楽器の物理学)
The Physics of Musical Instruments
- 作者: Neville H. Fletcher,Thomas D. Rossing
- 出版社/メーカー: Springer New York
- 発売日: 2010/11/25
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邦訳。
- 作者: 岸憲史,久保田秀美,吉川茂
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2012/08/25
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7) Musician's Guide to Acoustics
- 作者: Murray Campbell,Clive Greated
- 出版社/メーカー: Ebla (UK) Ltd.
- 発売日: 1988/05/12
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8) ピアノの音色はタッチで変わるか―楽器の中の物理学
- 作者: 吉川茂
- 出版社/メーカー: 日経サイエンス社
- 発売日: 1997/06
- メディア: 単行本
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楽器音響学という分野がある
chiptuneのために「楽器の音響特性や波形を調べる学問分野」が無いか調べてたけど、それが「楽器音響学」らしい https://t.co/fDIJznZhxB
— 黒めだか (@takeshi0406) November 23, 2018