今私は小さな魚だけれど

ちょっぴり非日常な音楽を紹介するブログです

【調査】1987年の電波ソング、きどりっこ『おくちが・ガー・ガー』について調査する

先日盛り上がった #全国もっと変な曲知りたい協会 の中で気になった曲です。

これをリツイートした方のコメントです。

電波ソングの源流に近いのでは?」という指摘はたしかにその通りで、子供っぽい歌声や急に曲の雰囲気を変えて謎のサンプリングが始まるところとか、電波系だと言っていいでしょう。

子どもたちのCity

子どもたちのCity

atfirst-atlast.cside.com

アルバムについて

Amazonの紹介文を引用。やはりナゴムレコードはきちんと調べないといけないですね…。ただ、「きどりっこ」自身はキャプテンレコード所属のようです。

  1. フューチャー・ナウ!! ~拝啓 未来様、あなたはとってもいかがわしい~ (泯比沙子&クリナメン
  2. 23の瞳 (筋肉少女帯
  3. いかした彼女 (人生)
  4. おくちがガーガー (きどりっこ)
  5. 未青年 (ばちかぶり)
  6. 眠れない夜のために (パパイヤ・パラノイア
  7. 愛をこめて “もっと!もっと!” (GO-BANG'S)
  8. 金くれ (グレイトリッチーズ)
  9. 僕は言いたい (THE LONDON TIMES)
  10. BRAZIL (メトロファルス

筋肉少女帯、人生、GO-BANG'S、パパイヤ・パラノイアナゴム系バンドが参加したオムニバス・アルバム。ジャケット・イラストは有頂天のKERAによるもの。

バンザイ! ナゴムの訳わからん名盤が再発! 十把一からげ状態の今のインディーズに対し、卓球やオーケンもいたナゴムは、どのバンドもアクが強くてオリジナリティがある。真剣なのに“超音波”声、奇妙でドロドロした浮遊感、超庶民的歌詞、タテノリで大爆笑!(「CDジャーナル」データベースより)

Amazonのレビューにあるコメントです。

2番目に収録されている筋肉少女帯の『23の瞳』は特にお勧めです。

この音源はおそらくメジャーデビュー前の音源で4枚目の『サーカス団パノラマ島へ帰る』に収録されている音源とは大違いです。(筋少ファンの方はご存知だと思いますが)私は初期時代の筋少が好きで、ナゴム時代のレコードを探してました。しかし、いまやナゴム系のレコードなどは廃盤になりプレミアが高く付き入手し辛い現状です。そんなある日『子どもたちのシティ』の復刻です。値段も安いので、ぜひお勧めです。

dic.nicovideo.jp

1987年2月リリース。偶然にもナゴムレコードキャプテンレコードに縁があるバンドが集まっている。

初回限定として劇団健康のソノシートがついていました。

dic.nicovideo.jp

きどりっこについて

www.youtube.com

「おしりかじり虫」的な童謡、音頭的なテイストと、プリグレっぽいシンフォニックで複雑な楽曲が混在した不思議なバンドでした。表面的にはバカバカしいけどフュージョンぽいソロやヴォイシングがされていて結構奥が深かった・・・。

実際に「おしりかじり虫」の松前さんが在籍していました。

ja.wikipedia.org

大阪府立四條畷高等学校から千葉大学工学部に入学(その後中退)。千葉大学サウンドクリエイト研究会にて中ザワヒデキらと交友を持つ。1980年代中頃、てんちゆみ、佐藤隆一とともにきどりっこを結成するも、ファーストアルバム『セレレガンスな愉しみ』(キャプテンレコード、1986年)をリリースした直後、音楽性の違いにより脱退。

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■きどりっこ

てん・ちゆみ(VOCALS,ALL OF WORDS)

佐藤隆一(KEYBOARDS ARRANGEMENT ALL SONGS)

松前公高(KEYBOARDS ARRANGEMENT SONG(A-1,A-2),SAMPLING PROGRAM)

テクノポップというか、とにかく可愛い歌声が特徴。

B-1の「このこのこねこ」はキュンと切なくなります。

reryo.blog98.fc2.com

さて、彼らの最大の特徴はてんちゆみの変幻自在のヴォーカルスタイル(80年代ニューウェーブはこうした少女と大人を行ったり来たりする女性ヴォーカルが多かった)もありますが、特有の童謡的なメロディセンスにあると思います。本作は前作と比較してもその特徴が顕著にあらわれており、「お面をつけた猫」「なんきんまめ」などの民話的、迷信的な世界はもはや十八番と言って良いかもしれません。また、松前公高在籍時はサンプルコラージュを取り入れたカオスなサウンドも持ち味の1つでしたが、佐藤1人となった本作ではあくまでPOPSとしての楽曲の中でルーツと思われるプログレ的展開を織り交ぜることで自己主張しています。

1987年時点で「当時はテクノポップは時代遅れと評されていた」とか「少女と大人を行ったり来たりする女性ヴォーカルが多かった」などもあり、80年代のテクノポップやニューウェイヴを掘るともっといろいろ出てきそうな気がします(今更ですが)。

てんちゆみさんは現在活動されていないようです。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

るーたんこと佐藤隆一さん(key・プログラミング)

※その後、ぷるるん釘というグループで活動

ぷるるん釘は、畑亜貴さんやまにきゅあ団とコンピレーションアルバムを出しているので、このあたりから90年代のアニメソングや同人音楽に接続している可能性があります。というかぷるるん釘の出自を私は知らなかったので僥倖です。