今私は小さな魚だけれど

ちょっぴり非日常な音楽を紹介するブログです

『オタク的想像力のリミット』などの最近読んだ本

特に私にとっては、アメリカのファンサブ文化と、ファンの交流(コスプレイヤー格闘ゲームファン)を説明した章が面白く感じました。

第11章「コスプレイヤーの学びー文化的実践としてのコスプレはいかに達成されるのか」

以下では、インタビューや動向調査で得られたコスプレイヤーの語りから、コスプレ・コミュニティに見られる「DIYカルチャー」「ピア・レビュー」「互恵的学習」という三点について具体的に見ていきたい。

互恵的学習の話をピックアップします。

コスプレイヤーが一人でコスプレ・イベントに参加することは少ない。大半のコスプレイヤーが、コスプレ仲間や、コスプレ会場で声をかけた(調査対象者の何人かは「ナンパ」と表現した)人などと一緒に参加している。コスプレイヤーとともにイベントに参加すると、そこが仲間どうしの情報交換の場になっていることが分かる。布や衣装、小物の入手経路、価格、工夫や失敗といったコスチューム制作に関する情報や、以前に参加したコスプレ・イベント、今後のイベント参加予定やコスプレ対象となるキャラクターなど、多様な情報が共有される。

ノリがらぁらちゃんです。

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これは同人音楽のイベントでも似たことを見かけたことがあります。今後はコロナウイルスが流行っているので、このような形のコミュニティがどうなっているのか(どうなっていくのか)も心配です。

第8章「ネットワーク文化としてのファンダム・イン・アメリカ」です。私自身もDenpa no sekaiなどを通して、海外出身のファンの方々からいろいろ教えてもらったので、地域コミュニティやウェブフォーラムの話はなんとなく知っていたのですが、それを詳しく説明しているのは面白いです。また、第13章のAMVのコミュニティのモチベーションの話は、プログラマー視点だとちょっと「伽藍とバザール」感があります。

オタクコミュニティと、エンジニアコミュニティの比較すると面白いかもしれません。

この本は最近、かえれちゃん2002( @mahowokakete )さんの本棚の写真にあって、気になったタイトルなので読んでみました。

続きは、最近読んだ本の紹介です。

16bitセンセーション 1 私とみんなが作った美少女ゲーム

90年代の美少女ゲームメーカーを題材にした漫画。『同級生』のCGがすごいとか、オウム真理教がパソコン売ってたとか、エヴァンゲリオンが大流行したとか、当時の国産PCの時代からWindowsが発売されたなど、当時のエッセイのような内容です。

ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史

note.com

特に印象に残った話です。

  • 難破船の乗組員が孤立した集団が生き残るためには、『「ゆるやかな階級制」と呼ぶものの一部としてのリーダーシップ』が必要なこと
  • 人間以外の動物(象など)にも利他的な行動が見られ、収斂進化ではないかと主張されていること

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論

要約があるのでそっちを読んでください。「適応課題」というワードは覚えておきます。

theacademia.com

コンピュータの神話学

僕たちのインターネット史』に「日本ではハッカー文化が90年代にようやく紹介された」「そのときに翻訳された本」という内容で紹介されていた本です。

概ね技術楽観論を批判するような内容です。現代のいわゆる「シンギュラリティ教徒」が言われているような内容が、70年代ごろには既に言われていたらしいのが印象的でした。

コンピュータ科学者のI・G・グッドやクリストファー・エヴァンズは一九九〇年代には、どんな人間の頭脳よりもはるかにすぐれ、戦争と平和の問題を含めて、すべての重要な政治的意志決定も代わって遂行できる能力をもつ超インテリジェント機械(Ultra-inteligent machine, UIM)が発明されるだろうと陽気に予測している。グッドは、一九七〇年代の初頭に書いた文章で、UIMが自分なりに仕事をするようになり、「知能の爆発」を引き起こすような時代をはやくも予測していた。

(中略)

スタンフォード大学人工知能プログラムで研究しているパメラ・マーコダックは『考える機械』(Machines Who Think)と題された書物の中で、この予測を敷衍している。彼女はUIMが「全宇宙を巨大な思考する存在に変換してしまうだろう」と予測している。

人間機械論 ――人間の人間的な利用 第2版 【新装版】

「コンピュータの神話学」で触れられていた本で、サイバネティックスを一般に紹介するための内容。