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【本】『挑戦するピアニスト 独学の流儀』を読みました

挑戦するピアニスト 独学の流儀

挑戦するピアニスト 独学の流儀

ブックオフで見かけて、独学でピアニストとしても活躍されているのと、楽曲の分析に力を入れている点が気になって購入しました。

私はゲームボーイで曲を作ろうとしていて、既存の曲をコピーするにしても、ハードの制約に合わせて編曲する必要があります。その際に対位法的な技術が必要なんじゃないかという気がしているのですが、今の私にとってはどうやって勉強すればいいのかすら分かりません…。

クラシック音楽の分野で活躍されている方の話を読むことで、何かヒントが得られるんじゃないかと期待して読みました。

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せっかくなので金子さんの演奏も貼っておきます。

以下は自分用のメモです。気になったところを拾っていきます。

曲を仕上げる際には音源は聞かない

現在の金子さんは人の演奏の真似をすることから決別し、まず楽譜だけを頼りに演奏を構築するようにしているそうです。

まず大切なことは、音源を聴いたことのない作品を、楽譜だけを頼りにして音楽を構築でくる能力が大切だということである。そのためには、実は楽譜を正確に読むことが必要であるが、それと同時に必ずしも書かれたとおりに弾くだけではうまくいかない。伝統的に決まっているいくつかの表現を知らなければならない。(P47)

これは度々強調されています。その後、「楽譜に誤植がある場合もある」とか「演奏機会を得よう」とか、具体的なノウハウも面白いのですが、今は興味がないので割愛。

クラシックならではかもしれませんが、たしかに楽曲を分析できる能力が無いと強調すべき箇所が分からないというのはある気がします。

曲のスタイルは3種類

とての乱暴な場合分けかもしれないが、ピアノの作品は、大きく分けて3つの型に分類できる。それは、次の通りである。

  1. メロディーと伴奏型
  2. 対位法型
  3. 和音型

曲によっては、最初から最後までどれかの型だけの作品もあるし、また、曲の途中でこれらの3つの型が入れ替わっていく型の作品もあるし、また、3つの型のどれにも分類できない混合した型もある。いずれにしても、これら3種類は、本来は根が一緒で、1本の旋律が複数本になって対位法を形成し、それによって和音が発生して和声が発達したという作曲の基本から派生していったものであるが、響きのバランスや演奏の方法については明確に表現の仕方を変えなければならない。(P83)

これ面白いです。鍵盤楽器ならではの部分もある気がしますが、ゲーム音楽でも分散和音を使った「メロディーと伴奏型」もあれば、対位法的(って言い切っちゃって良いかかは私に判断つきませんが)にメロディーが絡み合うものもあります。

要約してしまうと、①は「メロディーを強調するのはもちろんだが、その次にバスラインを強調する」、②は「2つのメロディーを対等に演奏する」と書いてます。③はもう少し感覚的で複雑なことが書かれていて、他の方のまとめたブログを引用すると、

これを弾くだけならヘッポコの私にも弾けます。けれど著者によるとここでは「次の2通りの感覚を要求されている」とのこと。すなわち

(1)「すべてを16分音符として捉え、1本の運動量のある線として認識すること」

(2)「この作品が1小節ごとに和音が変化することを考え」5声として認識すること

弾くだけなら弾ける、と言ったのが(1)のことです。普通に弾く。とは言え、きっちりテンポ・リズムを守って全ての指で均一に弾くことが前提として要求されているので本当に弾けているのかといえば怪しいものです。

だそうです。これを打ち込むのどうすればいいんだ…。

曲の性格は調性で

調ごとの相対評価としてこういうことが書かれています。

まず、基本となる考え方は、これまでも述べてきている通り、調として相対的にシャープが増える、またはフラットが減るほど、明るさが増える、暖かくなる、より活動的になる、緊張感が増す、明るい色が増える、軽やかになるなどの感覚を思わせることが多い。逆にシャープが減る、またはフラットが増える場合、これらの逆の感覚、すなわち曇る、暗くなる、冷える、弛緩する、暗い色が増える、重さが増えるなどを思わせることが多い。(P241)

理論、音楽史、楽譜について

楽典や聴音などについては普通に学習していけば何とかなるものであるが、和声法などになると、なかなか微妙な問題がある。和声法の学習は時間のかかるもので、アマチュアの社会人が時間をやりくりして勉強するにはとても困難なものである。また、独学で実施することもなかなか難しい場合が多い。また、学習したことがすぐに演奏に反映されることが実感できないと、とても苦痛かもしれない。(P264)

なんとなく感じてましたが、やはり和声法は難しいようです。

演奏家が、作品の分析として勉強する和声法の本は、実際の楽曲をどう分析するのかということについて、実例を交えたものがお勧めである。例えば、

などであろうか。(P265)

また、ピアノ曲以外の曲(管弦楽など)を勉強することも薦められています。

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本の内容自体が気になった方はこちらで

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