もう一つのブログの方で書いていたのですが、そろそろテックな要素が薄れてきたのでこちらで書きます。
追加事項として、実際にGB実機 + 5000円程度のオーディオインターフェイス + GarageBandで録音できました。おそらくもっと自然な録音方法はある気はするのですが、一旦手元にある環境でサクッとやりました。
「はじめてのおいしゃさん」というゲームの『恋のしょほうせん』という曲のカバーです。初めてにしてはうまくできたと思うのですが、いかがでしょうか?
ひとまず、自分の中でまとまったノウハウ(大げさかもしれませんが)をまとめて、未来の自分や後から続く人が楽できるように杭を打っときます。「一応LSDjのインストールはできて使い方も覚えたけど、ここからどうやって曲を作ればいいの?」って人(具体的にはこの記事を書いた時点の自分)を想定しています。
WAVトラックでキックとベースの音を作る
最初の記事にも書きましたが、私が作ってみようと思ったのは、TORIENAさんのライブを見て「ゲームボーイであんなに迫力ある音が出せるんだ!」と思ったのが大きなきっかけでした。迫力の大きな部分はキック(バスドラムに当たる音)の音が担っているように思います。
結論から言うと、こちらの記事のパラメータをパクってWAVでキックを作りましょう。
メモ : #LSDj101 5.1.0以降のkickとかのattack、urbster1(bananaman)さんが記述してるPとLコマンドの併用を意識したら解決
— とぼけがお (@to6okegao) 2017年5月6日
LSDj's new P command. Kick sound?
https://t.co/wB52vUPfKk pic.twitter.com/S4Un0aqmsh
LSDj's new P command. Kick sound? (Page 1) - Nintendo Handhelds - Forums - ChipMusic.org
ただ、Youtube等に上がっている動画はLSDjのバージョンが4.xで作られていることが多く、そのままコマンドのパラメータを使うことはできません。4系と5系以降でPコマンドの挙動が違うことが原因です。
先輩に聞いた話によると、実際にはいろいろなキックやドラムの作り方(例えば矩形波など)があるそうなのですが、それはおいおい工夫していきます。いくつかのアーティストも教えてもらったのですがメモし忘れてました…。
また、キックの「ドン」という音の直後にベースを鳴らすことで、ベースとドラムをWAVトラックだけに収めることができます。こうするとパルス派のチャネルが2つ使えるので、メロディーや和音の自由度が上がります。
音の作り方について
一般的なDTMではプリセット音源を使う(+多少の加工)をすることが多いのようなのですが、実機のchiptuneをやる場合、矩形波やノイズ波を使って、イメージに近い音色を作る必要があります。個人的には一番時間のかかる作業だと感じてます。
シンセサイザーの音作りの本を読むのが一番参考になりました。特に以下に紹介する松前さんの本が良かったです。
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「この楽器の音色を作りたいんだけど、どう音色を作っていけばいいのかわからない」と思っていたのですが、例えば楽音(音程のある音, WAVやpulseで作る)と噪音(音程のない音, ノイズで作る)のどちらなのか、ADSRのパラメータを意識してtableで音量を少しずついじる、みたいな考え方が出てきます。
あと、「楽器名の英語 + LSDj(chiptune)」とかで検索すると、海外のフォーラムやYouTube動画がひっかかって、イメージに近い音が具体的にわかることもありました。
この延長でchibi-techセンセイの声技術を真似したいのですが、今の所うまくできていません。LSDjでやるとすると、Wコマンド(duty比をいじる)のに加え、Pコマンド(声のしゃくりとか)とかVコマンド(ビブラート)とかでめちゃめちゃパラメータいじることになりそうです。
矩形波によるボーカル再現:Chibi-Tech氏のお家芸といえるテクニックである。矩形波のduty比を細かく変更することにより、ボーカルを再現させる。ドッP氏の「FC音源による護法少女ソワカちゃんショートメドレー」が公開されるまで、謎の技術とされてきた。(ねここ氏による考察)例:FAMCOMPO Entry No.10 「Miko Miko Nurse」 - Chibi-Tech
chibi-techセンセイに話を聞いたとき、実際にけっこうなシンセサイザーマニアのようでした。当時はduty cycleとかPWMとかの話が分からなかったのですが。
耳コピで音を取る方法について
耳コピでは愚直に「ひたすら聞いて、自分の打ち込んだ音と聴き比べる」という作業を続けるしかありませんでした。
ただ、Traktor(PCDJ用のソフト)で低音だけを強調したり、BPMを落として聞き取りやすくしたり、といった工夫のしようはありました。
また、どれだけがんばっても4音しか鳴らせないので、ある程度音色を聞き取って打ち込んだら打ち切るといったことはできます(笑)。逆にデフォルメの難しさみたいなのはあるかもしれません。
また、一般的なDTMでは、入門して割と早い段階でコード進行を覚えるようなのですが、私はLSDjを使う上で意識することはあまり多くありませんでした(一応、昔楽器をやっていたので少しは知っています)。メロディーを重ねる感覚なので、クラシックの和声学に近い感覚なんじゃないかと思ってます。
その点、「音楽の基礎」って本がなにか本質的なことを言ってたような気がしますが、私はほとんど理解していません。
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この本には噪音・楽音の違いや、「楽器の音色はアタックの部分の音が一番影響する」みたいな実験の話など、音作りでも参考になる話も多かったです。
セーブはこまめにPCに移そう
最重要事項です。
楽曲の制作にエミュレータを使う人も多い(ファミコンの場合はFamiTracker等のソフト)ようなのですが、私はゲームボーイの実機で作っています。よくデータがぶっ壊れるのでこまめにデータはPCに移し、バックアップを取りましょう。
まとめ
個人的には「今までなんとなく聞き流していた音色や曲の雰囲気を、ゲームボーイというミニマムな環境で再現すること」に面白みを感じ始めています。
最後にいきなり唐突ですが、昨日読んだ「楽しい電子楽器 - 自作のススメ」という本を読んだのですが、「自分なりの工夫でかっこいい楽器や音を自作しよう(多少スピーカーはぶっ壊れるかもしれないので注意してね)」っていうやっていき感あふれる内容で良かったです。
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他にもchiptune自体にも触れられていたり、「サーキットベンディング」や「デトロイト・テクノ」など、過去にいろいろな工夫で音楽を作ってきた人々の話もあったのが興味深かったです。そもそも電子楽器全般、「こうやればいい」ってノウハウがキッチリ決まった分野ではなく、「これを表現したいけどどうすればいいのか」っていう創意工夫のしようの多い分野のようです。
同じように、LSDjで曲を打ち込もうとすると、一般的なDTMとは学び方が違っていたり、自分なりのやり方を見つけなきゃいけなかったり、セーブデータが壊れて泣いたり、試行錯誤する箇所が多く感じました。
まだ正直未熟だし、後から続く人には↑のようなノウハウや勉強方法も参考程度にしかならないかもしれませんが、自分なりのやり方を見つけてやっていきましょう。
いずれはオリジナル曲も作ってみたいです。
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