今私は小さな魚だけれど

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DJセットリスト作成法:独自性と一貫性を両立するためのステップ

先日、あかいろパーティーというイベントに呼んでいただき、とても盛り上がったイベントだったと思います。 私は「下ネタ」をテーマにDJをして、数本のスパークリングワインが出る治安の悪いイベントにしてしまいました。

終わった後主催の一人のにんぢんさんから、「ああいうのは固有スキルだから大事にしたほうがいい」と言っていただけました。めちゃめちゃ嬉しいです。しかしながら、私はあれを単に固有スキルとか才能として扱って欲しくはなく、むしろ今後のジャンルの発展のため、むしろ多くの人に再現できる方法論の側面をまとめて整備したいと考えています。

私は最近DJのコンセプトのまとめ方を、「でんぱあぐれっしょん セットリスト解説 〜浄土編〜」や「週末電波音楽夜会セットリスト解説」などで考えていました。一貫したコンセプトがあることにより、DJの迫力が増すと考えています。代わりに特定のジャンルで取りまとめてしまうと、新たな発見の無い逆に迫力の無いDJになってしまいます。

そのため、私はその「あの人はこれ好きそうだな」という、「人格」のような緩やかな捉え方をする必要があると思ってます。

また、統一感を出すための方法はこれに限らず、ある程度の「人格」を考えられれば十分かもしれません。例えば友達(の中で自分の側の鏡にも映った共通部分)が好きそうな曲を基準に選ぶとかもできるはずです。そうすると、一貫性はありつつも厳密なルールの堅苦しさがない、ちょうど良いラインになると思ってます。

この記事では、そのコンセプトの「人格」を捉えて、実際にDJのセットリストを作るための方法をまとめます。

方法論のステップ

次のようなステップを踏むと良いと思ってます。おそらく、ある程度広く音楽を聞いている人なら再現できるんじゃないかと思います。

  • ステップ1: イベントコンセプトと流したい曲を洗い出す
  • ステップ2: それらの内容に合うバンドやアーティストを考える
  • ステップ3: そのバンドの基準で選曲する

ステップ1: イベントコンセプトと流したい曲を洗い出す

ひとまず、まずイベント主催から聞くコンセプトややりたいことは重要です。今回は「とにかく変なことや異常なことをやってほしい」と聞いていました。

twipla.jp

レギュレーションは無し!お呼びしたDJの皆さんの好き好きで、とにかくオタクが好きそうな音楽を野放図に流してもらいつつ、異常な音楽を流してもらえればと思ってDJさんをお呼びしています!

また、裏話ですが、実はイベントフライヤーの画像も私が生成していて、その時のやり取りも参考にしてます。また、スペシャルゲストの赤しいたけさんが誕生日でした。最初に送ったのは出演者やメインゲストの名前の「人参やきのこ」などの収穫祭のイメージでした。

前衛的だからロシア・アヴァンギャルド風にしてくれとリクエストなどで何度かやり取りして、こちらのタイムテーブルに使われた画像が採用されました。

ただ後から何度かトライしていて、「やべーのできました」って送っていたんですが、それが知らないうちに採用されてしまいましたw

流したい曲を考えます。谷川俊太郎の「なんでもおまんこ」の朗読を流したいと思ってました。この前回の野外フェスイベントの前にちょうどこちらの本を読んでいて、「谷川俊太郎さんが離婚後に傷心されていた際に秩父に滞在していた」という話をちょうど聞いたのが理由です。

また、「あっちに見えてるうぶ毛の生えた丘だってそうだよ」などのフレーズが屋外にもピッタリだったんですが、さすがにこれを広い場で流すのは無理です。それならここで流そうと思い立ちました。

ステップ2: それらの内容に合うバンドやアーティストを考える

これらの条件を加味して、コンセプトを考える必要があります。このとき自分には「これらの条件に当てはまるバンドを考えて、このバンドと対バン(共演)しそうな曲を取り揃える」のが合ってそうだと最近感じてます。今回は「巨乳まんだら王国」というバンドをイメージ元に選びました。

ボーカルで教祖のイコマノリユキは変態ヘヴィロッカーを自称しているだけあって、メタル、ファンク、ポップ、テクノ、パンク、ヘヴィーロック等をベースとする歌謡テイストを利かせた楽曲は下ネタのオンパレードである[2][3]。巨乳まんだら王国の信者(ファン)は巨まん王国民と呼ばれる。

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ここで前回の私は宗教性とか偉そうなことを言ってましたが、別に特別信仰心に篤いわけでもないので続きませんでしたw

やや余談ですが、電波ソングはジャンルの定義自体が曖昧で、「巨乳まんだら王国のファンから見たら、電波ソングはこう見えるんじゃないか」というように、むしろ「特定の視点から見た電波ソングには違った見え方をするんじゃないか」という形でアイデアを広げるのに向いているジャンルなんじゃないかと思っています。

ステップ3: そのバンドの基準で選曲する

次に、そのバンドの視点で選曲します。これは自分の解釈のそのバンドであって、本当にそうなのかはわからないのですが、一定の基準を設けて一貫性を保つことに役立ちます。

そうすることで、オナニーマシーンなどの下ネタの歌詞のバンドも射程に入るし、なんとなく音楽の質感や審査基準のようなものも分かります。例えば「一見してわかりやすいちんこまんこの歌詞で盛り上げる」っていう曲の盛り上げ方のスタイルも参考になります。また、いわゆる電波ソングの中でも、生音的なものやピコピコしてないもののほうが基準に合っていて、最近の楽曲よりそこで往年の下ネタ電波ソングのほうを入れればいいことが分かります。

例えば「授乳手コキしながら歌ってア・ゲ・ル!」のような弾き語りは入るのですが、「炎の孕ませ乳ドルマイ★スター学園Z」のアイドルソング風の主題歌は入りません(※あくまで自分の中での基準です)。

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その他の例

実は限界野外フェスの際にも同じ方法を試していました。

ステップ1: イベントコンセプトと流したい曲を洗い出す

野外イベントで、周囲に家族連れも多いので。また次の出番の方(汐宮あまねさん)が電波ソングを流すので、あまりそこから離れられない制約条件がありました。

何曲か流したかった曲はありますが、特に「週末トレインどこへいく?」の主題歌を流したいと思ってました。西武線や旅行気分にも合ってます。また、学マスの「初」も流したい曲の一つでした。

ステップ2: それらの内容に合うバンドやアーティストを考える

ハイスイノナサをイメージ元にしました。宝石の国のOP(鏡面の波)の作曲の照井順政さんが所属するバンドです。女性ボーカルに統一したいのと、ポストロックや残響レコード的な音で意外性が出せるかなという目論見です。

ステップ3: そのバンドの基準で選曲する

周辺ジャンルとしてエレクトロニカも入ってきて、イヤホンズの「記憶」を流せたのが良かったと思ってます。野外フェスだから単に盛り上げるんじゃなくて、この曲で周辺の音を意識させるみたいな発想も出てきたので。

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まとめ

この記事では、イベント「あかいろパーティー」におけるDJセットリスト作成の方法論について解説しました。ある程度広い音楽の素養があれば、多くの人が再現可能なんじゃないかと思います。また、イベントのテーマに沿った一貫性を持たせつつ、柔軟なアプローチで選曲することができ、独自性と新たな発見のあるDJが実現できるんじゃないかと思います。

急な話ですが、こちらの本で柳宗悦の民芸理論が批判されていて、そのP304の「日本の茶道の文化には、産地も時代も異なる器物を取合せて一つの有機体的な世界観を作るという理念があった(が柳宗悦が受け取れていなかった)」という内容がありました。私は民芸理論自体を批判が妥当なのかとかは分かりませんが、この内容は自分の中に残ってます。

しかし個別的にみえる日本の「茶」を注意深く見れば、初代茶人やその伝統を継ぐものが、茶室という美の小宇宙の中で、全体への有機的なつながりという理念をいかに強く持っていたかが解る。「取合せ」という工夫がそれであり、その中で書画や各々の器物は注意深く互いの相乗効果をめざして取揃えられ、使われた。材質も色調も形態も異なる各々の取合せは単なる統一されたデザインのそれより表面的ではないが、一層高度な有機的な関係を持っていた。取合せは茶人の力量を示すものであり、茶会はその都度、茶室という全体に対する彼らの有機体系としての作品であった。

しかしここでも、柳がそこから受け取ったものは有機体系の理論ではなく、個別的な器への関心であり、名品を探り出す彼等の鋭い審美眼のみであった。

同じように、自分たちのようなDJも、曲の組み合わせから、各個の曲の意外な見せ方や魅力を発見することができるんじゃないかと思ってます。

この記事は正直大したことを言ってないのかもしれないし、多くの人が無意識にできているのかもしれませんが、そのためのささやかな実験の一つとして参考にしていただけると嬉しいです。